25Sep

余り聞いたことのない名前かも知れませんが破傷風という病名をご存知でしょうか?
病名こそ認知度は低いですが実は命に関わるかもしれない怖い病気です。
現在の日本においても致死率は30%にも上ります。
感染性の病気で擦り傷、または犬や猫からも感染する可能性があるので誰にでも発症する可能性があります。
ここではそんな破傷風の原因、症状、対処法などを詳しくご説明していきます。
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破傷風とはどのような病気なのか?その症状は?
破傷風とはどのような病気なのでしょうか?
まずは破傷風について詳しく説明していきます。
破傷風とは?
破傷風とは破傷風菌に感染することで発症する病気です。
破傷風菌は体に出来た傷口から体内に侵入し、増殖します。
そして、菌が体内で増殖を開始すると細菌が毒素を作り出してしまいます。
この毒素によって痙攣や開口障害等の症状が現れ、重症化すると死に至る感染症の病気です。
日本では1953年から任意の破傷風ワクチン接種が開始されました。
その結果、1950年頃に年間数千人いた破傷風患者は激減し、現在では年間100人程度まで減少しました。
破傷風発症の原因とは?
破傷風菌は土の中や動物の消化器官にいる菌です。
傷口以外にもピアスによる傷、火傷の傷、腫瘍、手術の傷などから感染する事があります。
土の中の菌
破傷風菌は地表から数センチ付近の土や泥の中に存在しています。
分布は幅広く、日本全国の土の中で菌の存在が確認されています。
破傷風菌は熱と空気に弱いという特徴があります。
そのため、日が当たらず、酸素の少ない場所を好む性質があり、そのような環境下で活動が活発になります。
泥や土の中にいる破傷風菌は主に傷口から体内へと侵入してきます。
傷が深い方が侵入しやすいです。
今では滅多にありませんが、深い傷とは釘を踏んでつけた傷の様な状態を指します。
また、こちらも余りないかもしれませんが裸足で歩いていてガラスなどで足を切ってしまったような状態も深い傷となります。
他にはピアスの開けた穴、注射、中絶なども深い傷に当たります。
前記の通り破傷風菌は空気に弱いため、浅い傷口では基本的に破傷風菌が生存する事は出来ません。
しかし、擦り傷程度の傷からも侵入する場合もありますので油断は出来ません。
これは破傷風菌に備わった特殊な生存能力にあります。
破傷風菌は自身の生存に適さない環境化におかれると芽胞(がほう)と呼ばれる膜を作り、自らを保護します。
そのため、擦り傷程度の浅い傷口でも場合によっては生存できてしまうのです。
そして、その膜をまとったまま体内に侵入し、侵入後に芽胞(がほう)を脱ぎ捨てて毒素の放出を始めるのです。
また、ペットや野生動物の消化器官にも破傷風菌は存在しています。
以前は屋外での感染がほとんどでしたが、現在では屋内でペットから感染する例もありますのでご注意ください。
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破傷風の症状は4段階に分類される。段階毎の症状は?
破傷風菌が体内に入ったからといって直ぐに破傷風を発症する訳ではありません。
破傷風には潜伏期間があります。
潜伏期間は2日から8週間程度と人により個人差がありますが、一般的に感染から発症までの期間が短いほど死亡率が高くなります。
また、破傷風は症状や症状が発症する場所などによって以下の4種類に分類されます。
- 全身性破傷風=全身の痙攣を起こす破傷風
- 限局性破傷風=傷口の周辺のみが痙攣する破傷風
- 頭部破傷風=頭部の傷口から感染し、顔面や脳の神経麻痺を起こす破傷風
- 新生児破傷風=出産時に不適切な臍帯処理を行ったことで感染する破傷風
また、破傷風はその症状によって第1期から第4期までに分けられます。
第一期
主な症状は全身に起こる倦怠感です。
その他には肩こり、不眠、発熱などの症状が起こります。
また、傷口が腫れて痛みを感じる場合もあります。
この時期の症状は一般的な体調不良と区別が付かない為、破傷風であると自覚するのは難しいです。
第二期
部分的に筋肉の痙攣が起こるようになります。
また、顔の筋肉がこわばるようになり口が開きにくくなります。
他にも首筋の筋肉が硬直したり、寝汗や歯軋りが酷くなったりします。
更に言葉を上手く発せられなくなったり、歩行障害も起こるようになります。
第三期
この段階に入ると破傷風の末期の状態で、全身の筋肉が痙攣するようになります。
また、この段階では破傷風の特徴的な症状である後弓反張(こうきゅうはんちょう/痙攣で背中が反り返る症状)が起こるようになります。
さらに呼吸器を支配する筋肉も痙攣を起こすようになり呼吸困難を引き起こす場合もあります。
ここまで症状が進んでしまうととても危険で、最悪のケースでは命を落とす場合もありえます。
更に痙攣以外にも全身に激痛が走ります。
第四期
適切な治療を受け、第三期を乗り切れば次第に症状は改善していきます。
破傷風ではこの回復段階を第四期と呼びます。
犬や猫などのペットから感染する破傷風。最も有効な予防方法とは?
前記の通り、破傷風菌は動物の体内に存在しています。
ご自宅で犬や猫などのペットを飼われている場合はご注意ください。
傷のある手でペットのトイレの世話などをすると排泄物の中に含まれている破傷風菌に感染する危険があります。
手に傷があるときは手袋をするなどし、傷口に菌が付着しないように注意してください。
また、ペットに噛まれたりして体内に破傷風菌が侵入するケースもあるようです。
もしペットを飼われていて破傷風の疑いのある症状があれば直ぐに病院で診察を受けるようにしましょう。
また、海外に一部の地域では未だに破傷風が流行している国や地域があります。
余り衛生環境の良くない国への渡航予定があるのであれば、渡航前に渡航先国の情報を調べるようにしておきましょう。
破傷風の予防方法
破傷風の予防方法で最も有効なのがワクチン注射です。
予防注射を行えるかは医療機関により異なりますので、まずはお近くの医療機関で相談してみて下さい。
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