13Oct

便には、体の状態を教えてくれる重要な役割があります。
正常な便は、黄色~褐色の色調で、血液や粘液などが付着していない半ねり状の形をしています。
しかし、心身の何らかの原因によって腸に障害が起こると便に異常のサインが現れます。
便が異常を知らせてくれるサインの一つに血便があります。
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血便とは?
血便と聞くと、血が混ざった便だと思われるかたは多いと思います。
たしかに間違いではないのですが、正確には違います。
食道から肛門までの消化管の中で、なんらかの原因で出血があると便に血が混ざります。
これをすべて血便というわけではなく、出血している場所で呼び方が変わります。
食道から胃・十二指腸までを上部消化管といい、ここから出血した場合には下血といいます。
一方で、小腸、結腸、直腸、肛門といった下部消化管から出血した場合には血便といいます。
血便の原因となる疾患
血便の原因となる疾患は多数あります。
代表的なものを紹介していきたいと思います。
痔核(いぼじ)
痔核は、みなさんも持っているもので、肛門を閉める働きをしています。
排便時に繰り返していきむことで、痔核を支えている靭帯が緩み脱出してしまいます。
これは、いぼに似ていることからいぼ痔とも呼ばれています。
裂肛(きれじ)
排便時に、肛門の粘膜や皮膚が、硬くて大きくなった便によって裂けることで起きる病態です。
同じ場所が何度も裂けると、肛門が狭くなりシコリができてきます。
こうなると、さらに便が出しづらくなり、慢性的な裂肛になってしまう可能性がありますので注意してくださいね。
大腸ポリープ
大腸にできるポリープです。
自覚症状がほとんどなく、あっても少量の血便です。
本人が知らない間に大腸にできてしまうため、健診で初めて見つかることが多いのです。
一部の大腸ポリープは、大腸癌の原因になります。
大腸癌
大腸癌は、大腸内(結腸、直腸、盲腸、肛門)に発生する癌です。
日本人の大腸癌は、S状結腸と直腸に発生することが多いです。
大腸癌の発生機序は、良性ポリープが癌化するパターンと、正常粘膜から直接発生するパターンがあります。
どこに癌ができたかで症状に大きく差がでます。
肛門に近い直腸や下行結腸、S状結腸であれば、血便がはっきり出るので発見されやすいです。
また、腫瘍部分に便がこすれることで痛みが生じます。
しかし、上行結腸癌は、ほとんど痛みの症状がなく、ほとんど血便も出ないので早期発見が遅れてしまう可能性が高いです。
虚血性大腸炎
大腸へ血液を供給する動脈が閉塞し、虚血状態になることで炎症や潰瘍を引き起こす疾患です。
動脈硬化が進んでいる高齢者や糖尿病の人に多くみられます。
突然の激しい腹痛(左下腹部)や下痢、新しい出血による血便が特徴です。
大腸憩室炎
憩室は大腸の壁の一部が外側へ袋状に飛び出している病態です。
ほとんどの場合は無症状です。
しかし、憩室内に便が詰まると炎症を引き起こし、腹痛や発熱、粘性もしくは膿性血便をきたします。
出血性大腸炎
大腸菌の中でも、腸管出血性大腸菌に感染することが原因となる疾患。
菌が産生する毒素が出血性の下痢と重篤な合併症を起こします。
激しい腹痛と水様性(出血性)の下痢が1~8日続くことが特徴です。
出血性大腸炎の約2~7%に溶血性尿毒症症候群という重度の合併症を引き起こします。
偽膜性腸炎
腸管内には、常在菌といって腸内の環境を維持してくれる細菌が存在します。
しかし、何らかの感染症を治療するために抗菌薬を長期に使うと、腸管内の常在菌までもが殺菌されてしまいます。
そして、その中で生き残ったClostridium difficileが異常増殖(菌交代症)し、偽膜を形成する大腸炎を引き起こしてしまいます。
抗菌薬の長期投与後に下痢がみられた場合には、偽膜性腸炎の可能性が高いと言えます。
症状は、腹痛、粘性や血性の下痢です。
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女性の血便でストレスが原因となる疾患
ストレスがきっかけで血便が出ると言うと驚かれるかたも多いと思います。
次に紹介する2つの病気は、心理的なストレスに関係するのではないかと言われています。
過敏性腸症候群
内視鏡検査や血液検査、細菌培養検査で明らかな異常が認められないが、腹痛や便秘、下痢血便といった様々な症状が慢性的に続く疾患です。
近年、日本で急増していて、驚くことに日本人の10~15%がこの病気だと言われています。
10~30代の若い世代多く、男女比では女性の方が多い傾向にあります。
過敏性腸症候群の原因は?
原因がはっきりと解明されていないのが現状です。
ただ、心理的なストレスが大きいのではないかと言われています。
現代人は何らかのストレスを抱えている社会にいますので、発病者が増えていること比例していることを考えると納得できますね。
また、食生活や睡眠といった日常生活リズムの乱れが腸の状態に大きく影響を及ぼしますので原因ではないかと思います。
最近では、遺伝的な要因や、何らかの免疫異常が関わっている可能性を指摘されています。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に潰瘍やびらんが多発してできる疾患です。
イチゴジャムのような血性の粘性下痢を頻回に繰り返します。
クローン病と同じく炎症性腸疾患に含まれます。
日本で急増している病気で、20才前後が最も発病しやすく、30歳以下の若い人に多い傾向にあります。
潰瘍性大腸炎の原因
はっきりとした原因がわかっていないのが現状です。
だた、心理的なストレスが原因なのではないかと言われています。
また他には、自分の白血球が自分の大腸粘膜を攻撃して潰瘍ができてしまう自己免疫の異常があるのではないかと指摘されています。
腹痛や下痢症状がある場合には病院へ
血便の原因となる疾患を紹介してきましたが、合わせて腹痛や下痢症状がある場合には、なんらかしらの重要な病気が隠れている可能性があります。
消化器内科の診療科がある病院を受診してくださいね。
そこで、大腸の内視鏡検査、便潜血検査、便の細菌培養検査、血液検査、腸管エコーなどで異常がないか精査されると思います。
便は、体の異常を教えてくれる大切なものですので、毎日自分の便を確認してください。
そうすることで異常があったときにはすぐに気づくことができるはずです。
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