29May

仕事や嫌なことがあると気分が大きく落ち込み、遊びになると急に元気になる。
これは新型うつ病の典型的な症状です。
端から見たら、これって甘えなのでは?と思うでしょう。
新型うつ病は正式には非定型うつ病といいます。
もちろん甘えの可能性もあるのですが、甘えだけでは説明できないほど深刻な場合があります。
非定型うつ病は最近になって注目を浴びるようになった心の病気です。
しっかりとした治療と周りのサポートがあれば非定型うつ病が治ることは十分ありえます。
彼女や家族が非定型うつ病になったときの接し方や改善方法についても解説していきます。
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非定型うつ病とは

非定型うつ病とはうつ病の一種です。
一般に知られているうつ病は、「定型うつ病(メランコリー型うつ病)」といいます。
非定型うつ病は定型うつ病と似た症状が出るのですが、大きく異なる部分もあります。
慢性的な体のだるさや気分の落ち込みを感じて精神科を受診したけれど、うつ病と診断されなかった事例はたくさんあります。
非定型うつ病の特徴と定型うつ病との違い
これは非定型うつ病の最大の特徴なのですが、気分の変動が激しいことです。
定型うつ病は、前なら楽しかったり嬉しかったりしたことにもぜんぜん気分が上がらず、「何も面白くない」という特徴があります。
しかし、非定型うつ病は基本的にテンションが低い部分は同じなのですが、何か楽しいことがあると急に元気になったりします。
これは、非定型うつ病の最大の特徴でもあり、誤解されている部分でもあります。
周りの人からすれば、「うつ病が治った。」とか「そもそもやる気がなかっただけ。」と思われがちです。
周りから見ると「甘え」に見えるかもしれませんが、立派な病気なのです。
このような非定型うつ病の症状を「気分反応性」といいます。
ほかには、定型うつ病の場合は、基本的にテンションが低くエネルギーがないので、食欲もないです。
しかし、非定型うつ病の場合は、食欲低下の例はほとんどありません。
むしろ、過食症かと思うぐらいの食欲増加と、それに伴う体重増加が見られます。
ほかには、定型うつ病の方は8割~9割が不眠症を合併しています。
しかし、非定型うつ病の方は反対に過眠症を合併しています。
夜しっかり寝ているにもかかわらず、それに加えて昼寝もしてしまう。
合計すると1日の睡眠時間は10時間を越えることも当たり前のようにあります。
ほかには、非定型うつ病の方は、定型うつ病の方と違い、「拒絶過敏性」という特徴があります。
定型うつ病の場合は、人間関係において、なるべく迷惑をかけないよう衝突を裂ける傾向があります。
一方、非定型うつ病の場合、他人からの評価を異常に気にする傾向があります。
日常会話の中で相手は特に責める気もなく、冗談交じりに指摘しただけなのに、それを拒絶されたと解釈してしまうのです。
その結果、大きく落ち込み次の日仕事に行くことができなかったり、暴力や暴言など何かに八つ当たりする行動が見られます。
さらにひどくなると、拒絶されることが怖くなり、人と交流することを避けるようになってきます。
人間関係に大きな支障をきたすので、まっとうな社会生活を送ることが困難になります。
そのほか、定型うつ病と違うところは、体のだるさや倦怠感を感じる時間帯が違います。
定型うつ病の場合は、午前中に体のだるさを感じ、夕方になるにつれて改善していく傾向があります。
一方で、非定型うつ病は夕方以降に体のだるさを感じる傾向があります。
さらに、非定型うつ病の方の感じる疲労感、倦怠感は甚だしく、鉛様麻痺と呼ばれています。
そのほか、非定型うつ病の方は不安が強いです。
定型うつ病もパニック障害などの不安障害を合併することがありますが、非定型うつ病になるとそれは顕著です。
非定型うつ病の方は、常に何か漠然とした不安を抱えて精神的に疲れた状態なのです。
ご自身や家族、彼女などが非定型うつ病かどうか判断してみてください。
まとめると、次のようになります。
・食欲の増加および体重の増加
・常に眠い、過眠症(1日10時間以上)
・人間関係において何か注意されることに異常な恐怖を感じる(拒絶過敏症)
・体のだるさや倦怠感があり、特に夕方以降に悪化する傾向がある
・常に漠然とした不安や寂しさがある
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非定型うつ病は治る?3つの改善方法と治療法。

現在、非定型うつ病に効果があるとされている代表的な3つの改善法、治療法を紹介します。
このほかに、薬を使用した治療法もあります。
・認知行動療法
・対人関係療法
1、生活習慣の改善
精神疾患に限ったことではありませんが、生活習慣が乱れていると、どんな病気も悪化しやすいです。
生活習慣を改善するだけで、症状が改善した事例は非常に多くあります。
なので、強引にでも生活のリズムを整えることが大切になってきます。
まずは自分でできる範囲でルールを決めましょう。
生活習慣の中でもっとも大切なのは、朝型にすることです。
夜型の生活リズムは精神に大きな悪影響を及ぼします。
「生活リズムを朝型にして、1日1回は必ず日光を浴びる。」
まずはこのルールを必ず守るようにしてください。
また、この決めたルールを家族などにチェックしてもらうことも重要です。
自分ひとりで決めて、特に宣言もしないで実行しようとすると、どうしても楽なほうに行ってしまいます。
生活習慣を改善するというのは、精神疾患の患者さんに対して一般的に認知されている対処法です。
そのため、言われなくても分かっていると思って軽視しがちです。
そして甘く見ている人ほどできていない傾向があります。
生活習慣の改善はカウンセリングや薬よりもはるかに重要だと認識してください。
2、認知行動療法
非定型うつ病の方は、拒絶過敏症という対人関係上の特徴を持ち、本人もそれを自覚していることが多いです。
他人の発言や評価を異常に気に掛け、マイナスに捉えて「拒絶された」と解釈してしまうのです。
この原因は患者さんの「認知のゆがみ」から起こっています。
認知のゆがみとは、物事のとらえ方が他の人と大きくかけ離れていることを指します。
認知のゆがみがあることで他者との間で誤解が頻繁に発生してしまいます。
その結果、コミュニケーションが上手くいかず、最終的に他人とコミュニケーションをするのが億劫になっていくのです。
この認知のゆがみを修正する治療として有効なのが認知行動療法なのです。
認知行動療法とは、カウンセリングなどの精神療法のひとつで、ある物事に対して患者さんの認知と他の人の認知のズレを見直し、修正していく治療法です。
また、うつ病の患者さん全体にいえることですが、自己評価が異常に低い傾向があります。
認知行動療法は自己評価を正しく行えるようになるためにも有効な治療法なのです。
3、対人関係療法
対人関係療法は、先ほどの認知行動療法と同じカウンセリングなどの精神療法のひとつです。
認知行動療法が認知のゆがみに焦点を当てるのに対して、対人関係療法は対人関係に焦点を当てます。
カウンセリングを通じて対人関係やコミュニケーションを見直し、良好な人間関係が築けるように一緒になって取り組んでいく治療法です。
思考の癖や人間関係の作り方が一瞬で変わることはありえません。
最低でも3ヶ月という時間をかけてじっくりやっていかなければなりません。
そして何よりも大切なのは、患者さん自身が改善したいという姿勢です。
いくら家族や恋人が治ってほしいと思っていても、本人の意思がない限りは改善は見込めないでしょう。
彼女や家族が非定型うつ病になったときの接し方

非定型うつ病の最大の特徴である「気分反応性」。
仕事や苦しいことがあると気分が大きく落ち込み、嬉しいことや楽しいことになると急に元気になる症状です。
これを一概に「甘え」「意志の問題」と片付けるのはよくないです。
家族や彼女に治ってほしいと思うのであれば、非定型うつ病の症状であることを理解してください。
実際に落ち込んでいるときには、患者さんの心は想像を絶するほどの恐怖心を抱いているのです。
これは患者さん自身でも制御ができず、体験した人にしか分からない苦しい症状です。
仮にこのような気分反応性の症状に対して、「根性なし」や「しっかりしてよ」と言ってしまうとします。
そうすると今度は、「拒絶過敏症」という特徴があるので、患者さんは拒絶された、理解してもらえないと感じてしまい、ますます悪い方向へいってしまうのです。
では非定型うつ病の方と接するときに、どうすればいいのかというと、
・怒ってはいないことを伝えること
・嘘をつかないこと
・無理やり治そうとはせず、長い目で見ること
以上の4つを意識してください。
非定型うつ病の方は非常にネガティブで、疑い深く、繊細です。
常に不安で、拒絶されるのではないかという恐怖に怯えています。
まずは、発言に対して悪意や怒りといった感情がないことを伝えてあげましょう。
うわべだけの言葉ではなく、心から本当にそう思ってないといけません。
非定型うつ病の方に嘘をついてはいけません。
軽いからかいの言葉もやめておたほうがいいです。
また、周りが無理やりどうにかしようとすればするほど、反発して、心の溝が広がります。
無理やり病院へ行かそうとした経験は恐らく一度はあると思います。
先ほども説明しましたが、患者さん自身が改善したいという気持ちがないと何をやっても無駄です。
しかし、非定型うつ病は患者さん一人で解決できるような簡単な病気ではありません。
なので、家族や友人、恋人の方は患者さん自身が改善したくなるようなサポートが必要になります。
周りが無理やり治そうとはせず、あくまでサポートという役割で長い目で見るようにしてください。
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